ページを捲る手が止まらなくなる|すごい脳科学

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■書籍紹介

■書籍情報

タイトル:すごい脳科学

著者:坂上雅道

出版社:総合法令出版

初版発行日:2022/8/20 

■「すごい脳科学」の概要

思考や行動など私たちが生きる上で行っている全ては脳で行われている。

脳の謎を解明する脳科学は日々の生活に役立つ知恵、思わず人に言いたくなるようなことを知ることができます。

脳の構造(名前や役割)といった脳科学の基礎的な部分や「へー、そうだったんだ」と興味をそそられる研究を見ることで今ままで難しいとイメージを抱いていた「脳科学」を面白いと思えるようになります。

■「すごい脳科学」をおすすめしたい人

・脳の機能を高めて生産性を上げたい人
・質が高く面白い脳科学の研究を知りたい人
・ダイエット、恋愛、多言語、勉強など日々の暮らしに役立つ情報を知りたい人

「すごい脳科学」ピックアップポイント

「時間がないときは、この先を開かないでください。ページをめくる手が止まらなくなってしまいます」

表紙を開いてすぐ書かれている言葉です。

脳科学を研究している著者が脳科学の様々な分野の論文や研究を集めて脳科学の面白さを伝えてきます。

私も脳科学の面白さに少し惹かれました。

今回は脳の基本的な仕組みと私が面白いと思った脳科学の研究に焦点を当てて見ていきます!

①脳のしくみ●ニューロン

私たちが何かを感じたり、考えたりして意思決定を行い、行動にうつす時の脳の活動はニューロン(神経細胞)という細胞に支えられています。

そしてその数はなんと1000億個ほどあります。

ここでニューロンの形を見ていきます。

上下に細長い突起が出ています。

・樹状細胞

上に向かって枝分かれしている突起を樹状細胞と言います。

信号を受ける時に使われます。

この突起のつなぎ目はシナプスと呼ばれており、1つのニューロンに対して数千から数万あると言われています。

・軸索

下に向かってある突起を軸索と言います。

こちらは樹状細胞と違い1本しかありません。

ニューロンが信号を送る時に使われています。

「読書楽しいな」とか「あれ美味しそう」とか日々思考する中で脳の中では何億もの細胞が働いていると思うと面白いですね。

●グリア細胞

上記で紹介したニューロンですが単体では存在していません。

グリア細胞と呼ばれる細胞と一緒に存在しています。

このグリア細胞は糊のようにニューロンにくっついています。

このグリア細胞は何をしているのでしょうか。

それはニューロンの補修や保全をおこなっております。

実はニューロンは生まれてから増えることはありません。

そのため脳が外傷を受けたりしてニューロンが大量に死んでしまうとニューロンの量は元に戻らないのです。

では頭を叩かれ続ければニューロンが完全に死滅して何も考えられなくなるのでしょうか。

それは違います。ここでグリア細胞の出番です。

グリア細胞は増殖することができるためニューロンが損傷した際は増殖して損傷した部分を補うことによって脳の活動を保持することが出来ているのです。

このグリア細胞にも4種類あります。

1.アストロサイト

神経が働く上での環境を整えたり、役目を終えた伝達物質(ゴミ)をニューロンから取り除いたりしています。

他にも血液中にあるブドウ糖やアミノ酸などをニューロンに運んだり、タンパク質を作るなどニューロンにとって欠かせない存在です。

この細胞がないと脳に十分な栄養が渡らないので思考ができなくなりそうですね。

2.オリゴデンドロサイト

ニューロンの軸索に巻きついて、混線を防いだり、電気信号のもれを補修して軸索の電動速度を上げる働きをしています。

この細胞がないと目に見えたものをすぐ判断できなくなって事故とかにもつながりそうですね。

3.上衣細胞

繊毛で脳髄液を循環させている。

脳髄液の働きを調べてみたところ脳の形を保つ働きをしているみたいです。

この細胞がないと頭囲拡大や頭痛、嘔吐などを引き起こしそうですね。

4.ミクログリア

脳に侵入してきた病原菌などに対応したり、死んだニューロンやグリア細胞の死骸を食べて片付ける役割をしています。

この細胞がないと頭の中がゴミ屋敷になりそうですね。

何千億ある細胞の中のたった一つ。

目には見えないとても小さな存在が私たちの日々を支えてくれいるということがわかります。

頭を脳を大切にしていきたいですね。

②私が面白いと思った脳科学研究

本書では様々な論文、研究を用いて脳科学を説明しています。

ここでは私が特に面白い、興味深いと思った研究を紹介していきます。

●恋愛時の脳の動き

私たちが恋愛をしている時、脳の報酬系という部分が反応します。

恋に落ちている人でよく周りが見えない盲目状態になっている人を見たことがある人もいるのではないでしょうか。

それは脳の中で「求愛」システムが作動しているからです。

脳の報酬系が活性化することで好きな相手と一緒にいたい、結びつきたいという感情が繰り返し生み出されます

恋愛中盲目的になるのは特定の相手と繁殖をすることを目的としていて、繁殖のためのエネルギーに集中するため、他のエネルギーを節約しているからです。

ちなみに性欲を感じる時は報酬系ではなく、扁桃体が反応しています。

盲目的になっている人ほどその人を愛しているということなんですかね。

恋愛時に付き物なのが嫉妬ではないでしょうか。嫉妬しているときは心が苦しくなりますよね。

なぜ苦しみを覚えるのでしょうか。それは嫉妬は脳の中で痛みを処理する部位を同じところで発生するからです

嫉妬=痛みということです。ちなみに私たちが嫉妬をする理由はまだ生物学的にはわかっていません。

●あなたが好きな味は幻?

ハンバーガーやコーラ、牛丼などファストフードが大好きな人は多いと思います。

しかしその大好きな味が幻かもれないと言ったらあなたはどう思いますか?

バージニア工科大学のリード・モンターギュ博士が私たちが感じる味は主観的な味のイメージが強く関わっていることを調べた研究があります。

・研究概要

コカ・コーラが好きな実験協力者に対して、コカ・コーラとペプシを用意し、ブランド名を伏せた場合と伏せなかった場合で、味覚テストをしながらfMRIで脳の中のどの部位が反応するか調査

・研究結果

ブランド名を伏せた場合、コカ・コーラとペプシに共通して反応する部位がありました。

それは内側前頭前野という部位。ここは味覚に反応し、自分の好みの強さに応じて強く反応する部位です。

次にブランド名を明らかにした場合、コカ・コーラにだけ反応し、ペプシには反応しない部位がありました。

それは背外側前頭前野という部位。ここは記憶を司っている海馬と記憶を連携して、物事の判断をコントロールする部位です。

このことから脳内では私たちが経験してきた好きな物の記憶と照合しながら好き嫌いを判別していることがわかりました。

コカ・コーラというブランドが味を判別する味覚情報の前に大きな影響を与えているということです。

私たちが感じている好きだという味はもしかしたらブランドというスパイスがかかっているのかもしれませんね

■総評

正直まだまだ本書には面白い研究がたくさんあります。

・アインシュタインと私たちの脳の比較
・デザートは別腹の本当の理由
・ダイエットを成功させる自制心の作り方
・楽しい時間は短く、きつい時間は長く感じる理由
・脳科学の倫理問題

このタイトルだけみても興味を惹かれる人はいるのではないでしょうか。

脳科学はへーと思えることがたくさん詰まっているので人に話せる知識として最適だなと感じました!

他にも食べすぎて悩んでる、勉強で悩んでることに対しても脳科学の観点からアプローチをされているので暮らしに役立つ知識も満載です!

これを読む前脳科学は難しいものと思っていました。しかし今は面白いものと思えています。

それは本書が私みたいな難しいと思える人でもわかりやすく書かれているというのもあるかもしれませんが、私たちの身近にあるけど全く知らないもの。

それを少しでも知るということが面白いということに気づけます。

脳科学に限らず、生物学や化学、その他いろいろな知識がこの世にはたくさんあります。

名前だけ見て避けてしまうかもしれませんが少し知って見れば意外と面白いものです。

読書でもいえます。今まで読んでこなかった、避けてきたジャンルに挑戦してみると意外とハマるかもしれません。

記事について

執筆者情報
名前:れお
職業:ITエンジニア
Twitter:https://twitter.com/reotyall

この記事を書いた人

マグ

マグ

Twitterフォロワー数9万人の、読書系インフルエンサー。Voicyにて書籍紹介。1%読書術(KADOKAWA)著者