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■書籍紹介
タイトル:脳メンテナンス大全
著者名:クリステン・ウィルミア、サラ・トーランド 訳:野中香方子
出版社:日経BP
初版発行日:2022/1/11
■「脳メンテナンス大全」の概要
あなたの脳は変えられる。
脳の仕組みは非常に複雑だが、実のところ、脳を変えるのはとても簡単だーーーと語るのは、脳機能の研究や治療で広く知られるエイメン・クリニックで脳機能イメージングの研究部長をつとめ、NFL選手の脳損傷の解明と治療に関する画期的な行ったクリステン・ウィルミア氏。
現在、健康に関する情報は洪水のように溢れています。
そんな中でも脳に関する情報は少ないです。
ジムに行きなさい。サプリメントを摂りなさい。減量しなさい。
言葉で言うだけなら簡単です。
しかしその行動が私たちにどのような効果をもたらしてくれるのか知らないと人は行動しないと思います。
本書は健康についての情報でよくみる運動、食事に関する情報の他、脳にいい考え方やリアルタイムで脳をバイオハックする方法などあまり聞かない脳に良い知識を脳科学の観点から徹底的に解説してくれています。
もし、あなたが、
・最近、記憶力や集中力が低下してきた。
・ブレインフォグの状態にたびたび陥る。(頭の中に靄がかかっているような感じがする)
・不安や鬱症状が出ている。
・認知機能を回復させたい
のような悩みがあるなら是非本書を手に取ってみてください。
脳に良いと聞くと、食事や運動をイメージされる方が多いと思います。
もちろん本書でもこの2つについても解説してありますが、少し違った部分を見てみたいということで今回は
・あなたの脳は変えられるということ
・脳にいい考え方
・脳を変える良い習慣
の3つをみていきます。
「脳メンテナンス大全」の要約
1.あなたの脳は変えられる
脳の仕組みは非常に複雑であるため、本当に脳を変えることができるのかまたは変えるとしてもある種の治療をしたりするなど難しいのではないかと思う方もいるのではないでしょうか。
本書では脳を変えるための方法として以下の重要なことをあげています。
①いくつになっても新しいニューロンを育てることができる
私たちは日々、自然な老化現象としてニューロンを1日数千個失っています。
しかし、ニューロンは約1000億個あるため、私たちが死ぬまでその数がなくなることはありません。
このニューロンを健康に保つことが認知機能を維持するために大事なのです。
数は多いながらもどんどんとニューロンが減っていけば、認知機能は少なからず低下するのでは?と不安になっている方、安心してください。
最近60代でも70代でもニューロンが新しく生まれると言うことが分かりました。
ニューロンが新しく生まれることを「ニューロン新生」と言います。
アルツハイマーの患者を含む高齢者でも若い人と同じくらいニューロンを増やすことができるという研究もあります。
健康なニューロンが増えることで記憶力や集中力が向上し、「実行機能」と呼ばれる、行動を抑制する認知スキルを維持しやすくなります。
脳の老化=ニューロンが死ぬことなので良い習慣を増やしニューロン新生を促すことでいつまでも若い頃のような認知機能を保つことが可能なのです!
②血の巡り
認知機能をベストな状態に保つには「血の巡り」が肝心です。
人間の脳は体重の2%しかないですが、体内の血流の15~20%を必要とします。血液を脳に送るために他の臓器への血流がストップすることもあるのだそうです。
他にも、脳は筋肉の3倍酸素を使います。血液が酸素をニューロンに運び、ニューロンが働きますが血流が十分でないとニューロンに酸素が行き届かずニューロンが死んでしまいます。
血流は脳にグルコース(ブドウ糖)も運んでいます。
こちらはニューロンのエネルギー源になるものです。
脳は体内の40~60%ののグルコースを消費します。
ですがこのグルコースを脳は蓄えることができないので常に供給をしないといけません。
他にも血流はビタミン、ミネラル、脂肪、アミノ酸、電解質など脳にとって欠かせない栄養素を運んでいます。
脳内の血流の役割は大きく2つあります。
1つ目が上記であげた栄養素の供給。
もう1つが脳内に蓄積する老廃物を洗い流すことです。
脳内の老廃物は脳を破壊し、アルツハイマーの発祥にも深く関係しています。
集中力や記憶力の衰えを感じたときに脳内の血の巡りの悪さを考える人は少ないのではないでしょうか。
人間の脳は25歳で完成します。
ですので今20代で若いから認知機能なんて心配しないでいいと思っているのであれば考え直すべきです。
今の20代での食生活、睡眠、運動習慣などが脳の成長に影響しています。
30代になると、脳は完全に成熟します。
と同時に自然な老化始まります。
1日約8万5千ものニューロンが失われ、目に見える数値で認知機能が衰え始めます。
この年代で脳をケアをしていれば、聡明な中年期を過ごすことができます。
40代になると、脳の容積が10年に5%ずつ減っていきます。
短期記憶や推論、発話の流暢さにも支障が出てきます。集中力や記憶力のピークはここです。
50代になると、全体的な知識量がピークに達します。
60代~70代になると、語彙力がピークになります。
気分が沈むような情報を出してしまいましたが、ここで伝えたいのは脳を放っておいてはいけないということです。
上記でもあげた通り脳を変えることは可能です。
今からでも脳に良い習慣を取り入れいつまでも若い時のような認知機能を維持しましょう。
2.脳にいい考え方
①ポジティブになるだけで長生きできる
あなたはポジティブですか? それともネガティブですか?
もしあなたがネガティブだったらポジティブになるだけで脳の健康が驚くほど向上させるというとどうでしょうか。
実はポジティブ思考が有益だという研究は多数あります。
長寿者が多い地域(健康な100歳以上の人が多い)は世界各国にあります。
日本の沖縄もその一つです。
遺伝子も食べ物も習慣も様々ですがそれらの地域で共通して言えるのが楽観的で、長い人生の大半をポジティブで生きていたということです。
研究によると楽観的な人は、平均で11%~15%長生きします。
それはポジティブな人が感情や行動をコントロールするのがうまくストレスにうまく対処できるからだといいます。
具体的に思考がどのように脳を変えているのか見ていきましょう。
②思考がどのように脳を変えるのか
スピリチュアルの実践者ディーパック・チョプラ博士によると人は1日6~8万回思考します。
そのうち90%が反復思考、80%がネガティブなものだそうです。
反復思考がネガティブなものを「反芻思考」といい、これが脳に悪影響を与えます。
自己嫌悪、罪悪感、不安、怒り、鬱病、不安症。様々なものを引き起こします。
反復的ではないネガティブ思考も脳のストレスを高め、コルチゾールや内臓の炎症を増やし、海馬が損なわれ、思考力、記憶力、問題解決能力、創造性などの低下にもつながります。
実は、思考を何度も反復すると、脳の神経回路とシナプスの強度を変え、新たな回路がつくられます。
これが反芻思考悪いと言われる訳でネガティブな思考をすればするほどネガティブな神経回路がつくられます。
ネガティブ思考はテロメア(命の回数券と呼ばれ短くなると細胞の老化に繋がる)を短くして老化も早めます。
思考がネガティブになることで感情もネガティブになり間違った決定をしてしまうこともあります。
ネガティブ思考は悪いことのオンパレードなのです。
ですがいきなりネガティブ思考は悪いと言われてもすぐ辞められる人はいないと思います。
そこで本書で紹介してあるネガティブを抜け出す方法もあわせて見ていこうと思います。
また自分はポジティブだと思っていても実はネガティブな可能性があります。
ビジネススクールの学生を対象にした研究では学生たちは自分の考えの60~75%はポジティブだと思っていたが実際はネガティブな思考が60~75%でした。
③ネガティブ思考から抜け出す方法
1.体を動かす
運動はストレスを軽減し、自尊心や自信を高めてくれます。
また強度の高い運動を行うと行なっている最中はきつくてネガティブなことを考える暇もなくなります。
研究でも運動はネガティブな自動思考を断ち切るのに有効という結果もでています。
2.SNSやニュースの利用方法を見直す
SNSには常に誰かのキラキラした姿が写っています。
そこで見るものと自分を比較した結果、自分は成功していない、かっこよくない(かわいくない)、裕福じゃない、愛されていないなどとネガティブな思考が溢れ出てきます。
SNSに費やす時間が長くなるほど、幸福感や満足感が低くなるといった研究結果もあります。
ニュースの大半はネガティブな内容です。それはネガティブなニュースの方が見られるからです。
テレビのニュースを見ることで不安や、悲しみが増し、自分の心配事を大袈裟にとらえてしまうという研究結果もあります。
またSNSやニュースに時間を使っていると運動や趣味、家族や友人との交流の時間など人生に幸福や意味をもたらす時間が減り、社会的孤立、孤独感、抑うつ感が高まります。
本書ではネガティブ思考を抜け出す8つの方法として上記で挙げた2つ以外に6つの方法が紹介されています。
3.10分で脳を変える方法
①早歩きする
早歩きをすることで、脳の血流が増え、創造性が高まり、アイデアが生まれやすくなり、全体的な実行機能が向上します。
通勤時間や移動時間など歩いているスピードを少し上げるだけで実行できるのでハードル低く挑戦できますね。
仕事で行き詰まった時なども外に出てて早歩きするのもよさそうです。
②ダークチョコレートを食べる
ダークチョコレートはミネラルが豊富で、フラボノイドと呼ばれる、健康に良い植物成分が多く含まれています
フラボノイドは脳への血流と酸素供給を促進します。
ある研究で、記憶力と反応速度を測定する2時間前にダークチョコレートを食べるとその両方が向上したことがわかっています。
注意点としてこの効果はダークチョコレートに限られるということです。
ミルクチョコレートやホワイトチョコレートにはフラボノイドはあまりふくまれていません。
③背筋を伸ばして座る
胸を張り、首と背筋を伸ばして座ると、脳への血流が一気に増えます。
副次的な効果で姿勢が正しいと他者からの評価も上がりやすく自信にもつながります。
上記以外にも本書では10分で脳を変える10の方法として様々な習慣が紹介されています。
ぜひチェックして試してみてください!
「脳メンテナンス大全」の総括
脳を変えると聞くと難しいものと思っていましたが見てみるとすぐに実践できる簡単なものが多くあります。
いまさら遅い脳を変えるのを諦めるのは勿体無いです。
今からでも若い時のような認知機能を取り戻すことが可能なのです!
記事について
■執筆者情報
名前:れお
Twitter: https://twitter.com/reotyall