カリスマの言語化をお伝えします。『CUES 心と心を通わせる合図の出し方・見つけ方』

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今回は、『CUES 心と心を通わせる合図の出し方・見つけ方』をご紹介します。

カリスマ性のある人とは、一体どのような人を指すのでしょうか。

多くの観客を魅了するスターがいる一方で、たった一人の友人でさえ心を通わせられない人がいるのは何故でしょうか。答えは、CUES(キュー)にあるかもしれません。本書はあなたのCUES(キュー)を飛躍的に向上させ、人間関係や仕事への成功へと導く1冊となることでしょう。

CUES 心と心を通わせる合図の出し方・見つけ方
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『CUES』を紹介した図解はこちら

『CUES 心と心を通わせる合図の出し方・見つけ方』とは

今回は、『CUES 心と心を通わせる合図の出し方・見つけ方』をご紹介します。

本書を執筆したヴァネッサ・ヴァン・エドワーズさんは、アマゾン、マイクロソフト、ナイキ、Google、インテル、Facebookなどの世界有数の大企業でワークショップを行っていながら、講演者と研究者の顔も持つ全米ベストセラー著者です。

「TED×London」のトーク動画の視聴者は何千万人にも及ぶほか、グローバルリーダーシップサミット、国連、ペプシコなど、100カ国を超える国際舞台で講演を行っています。

そんな著者がコミュニケーションの達人になるための極意を1冊の本にして2022年12月19日に出版しました。本書は、

✅会社で満足のいく評価を貰えない
✅同僚より良いアイデアなのに何故か採用されない
✅深い人間関係構築がニガテ

以上のような悩みの種を解消し、あなたを成功へと導く1冊となるでしょう。

CUES(キュー)とは

本書の題名であるCUES(キュー)とは、顔の表情やボディランゲージ、言葉のチョイスや声の抑揚などを通して、私たちが無意識の内に相手に送り合っているシグナルです。

CUES(キュー)は、自身の印象や提案が他者に対してどのように伝わるのかに非常に大きな影響を及ぼしています。共感や好感度を得て周囲に大きな影響を及ぼすのか、あるいは煙たがられて相手にされずに終わるのかは、私たちが発するCUES(キュー)次第で大きく変化するでしょう。

『CUES 心と心を通わせる合図の出し方・見つけ方』の書評

では、本書で特に抑えておきたいポイントを3つ紹介します。

①カリスマ性を表すキューは「温かさ」と「有能さ」で決まる
②非言語のキュー~愛着心と力強さを与える方法~
③言語のキュー~力強さと温かさを発信する方法~

今回は、本書の中で特に重要なポイントを3点解説します。

明日から相手の心を鷲掴みにするコミュニケーションを実践するために、本記事をぜひ参考にしてみてください。

①カリスマ性を表すキューは温かさと有能さ

早速ですが、一つ質問をさせてください。

あなたの周りで一番カリスマ性のある人物は誰ですか?

両親、メンター、上司などさまざまな回答が返ってくるでしょう。本題はここからです。そもそも「カリスマ性」とは何を指すのかを説明できますか?きっと、答えに詰まる方が大半でしょう。

結論、カリスマ性が高い人とは「温かさ」「有能さ」が混ざりあった独特な雰囲気を醸し出す人です。

温かさは親切さや協調性、協力的な態度をさすため「この人は信頼できる人なのか?」、有能さは聡明で力強さがあり、影響力が高い状態をさすため「この人は頼りになるのか?」を測る指針として使われます。私たちがコミュニケーションを円滑に進めるためには、2つのバランスが整っていることが大前提になると本書は述べています。

仮に温かさのレベルが高い人の場合、人に好かれやすく信頼感はあるものの印象に残らない可能性が高いです。会社で「あの先輩、いい人だけど頼りにしようとは思わない」という人が一人はいるのではないでしょうか。

一方で有能さレベルが高い人の場合、聡明で頼りになるものの威圧的あるいは冷徹な印象を与える傾向にあります。上司にプレゼンをしたものの却下された場合に、「プレゼン資料を最大限に改善したから完璧だ!とリベンジしたものの結果はNG。このような経験がある方は少なくないでしょう。つまり、いくら有能なスキルを持っていても温かさを感じられない人を私たちは信じません。

以上のとおり、私たちは温かさと有能さのバランスが取れていない場合に人付き合いが上手くいかなくなったり誤解が生まれたりします。反対に、2つのバランスが取れているとカリスマ性溢れるコミュニケーションの達人と言えるでしょう。

では、具体的にどのようなキューを身につければ、温かさと有能さのバランスを持つカリスマ人間へと転身できるのでしょうか。

2つ目の解説では非言語のCUES(キュー)を、3つ目の解説では言語のキューについて紹介します。

②非言語のCUES(キュー)~愛着心と力強さを与える方法~

非言語のCUES(キュー)は、全コミュニケーションの65%から90%を占めるほど重要です。

また、非言語のCUES(キュー)を使いこなして認識出来る人は、仕事で得る年収が多いという研究知見もあります。理由として、他者の感情を素早くかつ正確に読み取ることで「気が利く仕事がデキる人」とみなされ評価されやすいためです。つまり、話し方は話す内容と同じくらい重要といえるでしょう。

本章では、非言語による「温かさ」と「有能さ」のCUES(キュー)の重要さについて解説します。

■温かさのキューが与える愛着心

温かさのCUES(キュー)といえば、世界的に有名なディズニーランドが代表的です。

アナハイムに建設されたディズニーランドは、70年近く経った今も毎日およそ51,000人が足を運んでいます。色褪せない人気の理由の一つに、「すべてのゲストをVIPーつまり、とても大切な人として、また、一人ひとりの人間としてもてなす」という理念が掲げられている点があるでしょう。

実際に、ディズニーで働くキャストたちは温かさのキューを駆使しています。
常に笑顔でゲストに手を振り、話しかけた際には目線を合わせてうなずきながら傾聴し、安心感のある声でゲストを誘導します。つまり、私たちは温かさのCUES(キュー)から一種のサプライズを感じ、相手に惹きつけられるのです。

さらに、温かさのCUES(キュー)は、愛着心を生みますし、強い影響力もあります。理由は、ハロー効果を生むためです。ハロー効果とは人や物事の優れた特徴に引きづられてほかの部分も好ましくみえる現象をさします。

例えば、ディズニーランドで時折アトラクションが不具合で停止するケースがあります。しかし、アクシデントが起きた際も「海賊たちが大暴れして前のボートを止めてしまったようです」や「どうやらイタズラ好きの亡霊が悪さをしたらしい」などのユーモア溢れるアナウンスが流れます。

通常であれば、不具合でアトラクションが停止した場合にクレームが殺到してもおかしくはありません。

しかし、私たちは温かさのキューによって、自分たちにとって不都合なシーンさえも楽しく喜びを感じるのです。ディズニーランドで働くキャストや出演者、そして周りのゲストが笑顔で溢れているからこそ、ハロー効果が生まれます。

ちなみに非言語の温かさのCUES(キュー)は、首をかしげて微笑む、うなずく、眉を上げるなどが主です。

「こんな簡単な仕草で印象が変わるなら苦労しないよ」と思われた方もいるかもしれません。

しかし私たちは、夢の国と呼ばれるディズニーランドに足を運ぶと、この上ない幸福に満ちた感情を味わいますよね。この事実は、温かさのCUES(キュー)を実践する人がいかに希少なのかを表していると言えるのではないでしょうか。つまり、私たちも日頃から心からの笑顔やうなずきなどの温かさのCUES(キュー)を意識することで、周囲を惹きつけたり愛着心を持たせたりすることが出来るでしょう。

■有能さのキューが与える絶大な力強さ

カリスマ性のあるCUES(キュー)を与えるためには、温かさにプラスして有能さが必要です。ここでは、有能さのCUES(キュー)の具体的な例と、与える影響力について紹介します。

結論、有能さのCUES(キュー)で一番簡単に実践できる方法は「姿勢を変える」ことです。

他者に自信に満ち溢れたシグナルを送るには、姿勢が何より大切なキューとなります。具体的には、肩の力を抜いて、足の感覚はいつもより8cm程広く立ち、手の位置は腕と胴体の間に少し空間を作るイメージです。

可能であればその場で立ち上がって実践するとわかりますが、姿勢を意識するだけで大きな変化が生まれるでしょう。実際、2016年におこなわれた研究結果では実験の参加者のうち、オープンでゆったりとした姿勢が最も魅力的に映ったという結果が出ました。さらに、ゆったりとした姿勢でいた人は、次のデートを受ける確立が76%も高いことが判明しています。

姿勢を整えることで外見的な自信を身につけるのみならず、周りの反応が変化して自分自身にも自信がみなぎるのです。つまり、姿勢を整えることで外面的にも内面的にも力強さを発揮できます。

つまり、自信に満ち溢れた姿勢で振る舞いつつも、相手の話を聴く時は首をかしげながら笑顔で相槌を打つと、カリスマ性溢れるCUES(キュー)を周囲に放てるでしょう。冒頭で述べたとおり、非言語のキューは全コミュニケーションの65%から90%を占めます。まずは、非言語のキューを日頃から意識して取り入れてみてください。

③言語のキュー~力強さと温かさを発信する方法~

最後に言語のCUES(キュー)について解説します。

結論、私たちは相手の声から「自信」「感情」を聞いています。自信とは、有能さです。あなたに自信がある場合、相手はあなたの話を本気で聞いて、何かしらの行動を起こすはずです。一方で感情とは、温かさです。あなたから感情豊かな活き活きとしたオーラを感じる場合は、他者の興味をそそるでしょう。

以上のとおり、仕事や人間関係において「言葉をどのように伝えるか」は、何を言うかと同じくらい重要です。

一方で、自信が重要な点は納得する方が大半とはいえ、感情は仕事において妨げになるためクールに振る舞うべきと考える方も多いでしょう。しかし、感情こそが人を惹きつけ、話を聞きたいと思わせるのか否かの決め手となります。

例えば、TV通販番組で有名な「ジャパネットたかた」は、感情を押さえつけているでしょうか。むしろ、ものすごく抑揚のある話し方やボディランゲージを駆使して、感情を全面に出しているとは思いませんか。

仮に、商品説明を抑揚もなく淡々と繰り広げていたら、大半が購買意欲を掻き立てられないはずです。「司会者が論理的かつ冷静だったから、5万円の炊飯器を買ったよ」と語る消費者は極めて少数派でしょう。むしろ、感情を押し殺すことで自然体にも冷静にも見えず、むしろ無関心に映ります。

自信と感情が重要な情報と分かって頂けたところで、まずはあなたの自信を相手に感じさせる言語のCUES(キュー)を紹介します。

■力強さを発信する声のキュー①語尾の半疑問形に注意

結論、語尾が半疑問形になる喋り方は、相手に不信感を抱かせます。

半疑問形とは、話の語尾が高くなる話し方です。

(こちらの製品は、33万円ですね⤴)

本書で紹介されている研究では、発言の中で半疑問形が使われた場合、人間の脳は単に聞いている能動的な状態から、話の内容を精査する能動的な状態に変わることが判明しています。さらに、半疑問形は気弱さや不安を感じさせる副作用も生じます。

半疑問形が生じやすいシーンとして、自己紹介や自身の意見を述べる時が挙げられます。

例:「私の名前は?◯◯です。趣味は、ピアノと?読書と?映画鑑賞です。」
「以前、話してくれた企画?良いと思ったよ?ただ、一つ提案?させてほしい。」

以上のように、語尾を上げる半疑問形のCUES(キュー)は、相手に「私を疑ってください」と依頼しているも同然です。自信ある主張として届けたいのであれば、語尾上がりに気をつけましょう。

■力強さを発信する声のキュー②効果的に間を取る

私たちは話すときに間や沈黙を嫌う傾向にあります。そして、間を埋めようと無意識にフィラー(つなぎの言葉)を使う場合が大半です。フィラーとは具体的に、「えー」「それで」「なんか」「まあ」「んー」などが挙げられます。私も含めて、恐らく大半の方が無意識に使っているのではないでしょうか。実は、話し手がフィラーを使うと準備不足で能力がないとみなされる調査結果があります。

また本書では、次のような研究結果も紹介されています。

英国のEU離脱をテーマにした2種類の演説を被験者に効かせて評価させた研究
A:フィラーは使わないがフェイク情報だらけの演説
B:内容は真実だがフィラーを山ほど使った演説
結果、Aの話者の方が有能かつ社交的で魅力的と評価された。さらに、被験者の57%がAのフィラーを使わないデタラメ演説を教育水準の高い人物によるものと推察。反対にBを教育水準の高い話者と判断した被験者はわずか36%だった。

以上の研究結果のとおり、演説の内容よりもフィラーの有無で有能さを判断する場合が大半でした。

克服方法として、フィラーを言いそうになった際に息を吸い込むとよいでしょう。息を吸ってあなたが落ち着きを取り戻す0.5秒間が、聞き手に対して自信のシグナルを送ることに繋がります。フィラーは癖である場合が大半のため、すぐに改善することは難しいです。しかし、日々意識的に取り組むことで、きっと自信に満ち溢れた言語を届けられるようになります。

■温かさを発信する声のCUES(キュー)①興味を惹く声の最大の敵を知る

次に、温かさを発信するCUES(キュー)について解説します。ただ、その前に興味を惹く声を邪魔する最大の敵について紹介しましょう。

結論、台本です。台本は、用意した言葉を完璧に相手に伝えるには便利なものの、真の感情を伝えるうえで大きな障害物になります。例えば、コンサートで常に観客とアイコンタクトを取って笑顔で進行している司会者は、自然と観客の注目を浴びているケースが大半です。反対に、手元の台本を見ながら音読する司会者に注目する観客はほとんどいないでしょう。現に本書でも、感情豊かな声をわずか10%増やしただけで、聴衆の注目度がぐんと高まる研究結果が紹介されています。しかし、感情をのせる大切さはわかったものの、台本がないと物理的に不可能な状況もあるでしょう。

■温かさを発信する声のCUES(キュー)②非言語の台本を作る

そこで、温かさを発信するためのCUES(キュー)の登場です。結論として、非言語の台本を作成することです。前半で述べた非言語のキューを台本に書き込むことで、自信が伝わるフレーズを手元に用意しつつ、感情も最大限に届けられる最強の台本が完成します。例えば、声に感情を込める部分は黄色いマーカーで線を引き、一呼吸置くところにスラッシュを入れます。さらに、ボディランゲージを取り入れたい部分に星印を書けば自信と感情が伝わる最強の台本の完成です。

カリスマを目指す人が陥りやすい落とし穴は、完璧な内容のスピーチをするために「自信」のみにフォーカスする部分にあります。しかし、本当は自信と感情の両方が揃ってこそ言葉のCUES(キュー)は最大限の効果が発揮されます。今後人前でスピーチやプレゼンをする機会がある方は、ぜひ自信と感情のバランスを意識してみてください。

まとめ

では最後に、今回の記事で紹介したポイントをまとめます。

①カリスマ性を表すCUES(キュー)は温かさと有能さ
→2つのバランスが整うと、コミュニケーションが円滑に進む

②非言語のCUES(キュー)~愛着心と力強さを与える方法~
→姿勢を整えて、心からの笑顔とうなずきを忘れずに

③言語のCUES(キュー)~力強さと温かさを発信する方法~
→半疑問形とフィラーに注意、非言語の台本を作ろう

今回は、『CUES(キュー)心と心を通わせる合図の出し方・見つけ方』について紹介しました。この本には今回紹介したポイント以外にも、相手に印象づけるキューや好感度を上げるキューについて数多く紹介されています。本書があなたにとって、仕事で大きな結果を残すキッカケや家族や友人との親密度を上げるキッカケとなれば幸いです。

CUES 心と心を通わせる合図の出し方・見つけ方
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この記事を書いた人

マグ

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Twitterフォロワー数9万人の、読書系インフルエンサー。Voicyにて書籍紹介。1%読書術(KADOKAWA)著者