優しさがコミュニケーションを作る|コミュニケーション大全

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■書籍紹介

■書籍情報

タイトル:コミュニケーション大全
著者名:鴨頭嘉人(かもがしらよしひと)
出版社:鴨ブックス
初版発行日:2022/8/18 

コミュニケーション大全の概要

“この本を読めば、サクッとコミュニケーション能力を手に入れられる、と思っている読者の方がいたら、ごめんなさい。僕の苦悶の日々を追体験することで、コミュニケーションのスキルだけではない、根底にある「マインド」の重要性を実感してほしい。”

と語るのは、現在日本一熱い想いを伝える炎の講演家プロの講演家として活躍される鴨頭嘉人氏。

本書は、コミュニケーションにおけるさまざまなスキルを習得できる本でもあるが、それ以上にコミュニケーションの根底にある「優しさ」に気づくことができる1冊となっている。

随所に具体例が散りばめられており、またページ数は多いものの余白や行間が確保されているため、読書ビギナーにも優しい。

まさに鴨頭氏の優しさに溢れたコミュニケーションの教科書である。

■どんな人に向いているか

・上司や部下とのコミュニケーションの取り方について悩んでいる方
・話すことは得意だけれど、いまいち自分のスピーチの評判が良くないと感じている方
・話の技術以外の効果的なコミュニケーションのポイントを知りたい方

上記に1つでも当てはまるなら、ぜひ本書を手にとって、自分のコミュニケーションに活かしてほしい。

コミュニケーションは、上辺だけのスキルではなく、あなたの心が表れる。

心を磨く大切さが実感できるはずです。

■書籍要約

本書は、大きく分けると3部構成である。

1.鴨頭氏の苦悶の日々
2.コミュニケーションの土台となる「優しい人」について
3.オンラインコミュニケーションの極意

本書のキーワードは次の2つ。

「声にならない声を聴く」「優しさ」講演家の鴨頭氏が、「コミュニケーション」をテーマに書いた本であるため、「話し方」にポイントが置かれていると考えてしまうが、話し方以外のコミュニケーションのコツや心構えが記されている本である。

話すことが苦手な人でも取り組める嬉しい内容だ。

特に、「相手・聞き手」を大切にする著者の視点が素晴らしい。

聞き手を置き去りにした、自己満足のコミュニケーションで壁にぶつかる機会が多いので、まさに目から鱗であり、新しい視点に気づくことができる。

まずは、次の項目についてセルフチェックしてほしい。

・聞き返されることがよくある
・誤解されることがある
・怪訝(けげん)な表情をされることがある
・相手が言葉を言い換えて確認してくる
・相手が不足部分を埋めてくれる

上記が1つでも該当したら、「優しさ」と「声にならない声を聴く」の2つの視点で自己のコミュニケーションを再確認することをおすすめする。

次に、上記2点を象徴するコミュニケーションのポイントを記す。

◎相手の表情に注目

→わかりませんとは言いづらい。
「繰り返し言ってみて」「一緒にメモを渡すね」表情によって、対応を変える。

話している時には、相手のことを見ているようで実は見ていない。


相手の表情を見ながらコミュニケーションをとることで、より「優しいコミュニケーション」に近づき、スキルを磨くことができる。

◎目を合わせる方法

講演中、参加者の足元や頭上の空間に目をやる人がほとんどで、会場全体を見渡しているけど「誰も見ていない」状況が多い。

スピーチでは、一人ひとりと目を合わせた時間の総和が重要である。

全体を見渡すのではなく、一人ひとりとしっかりと目を合わせる。

・ある程度の文のまとまりごとに、目を合わせる人を変えていく。
・大人数の場合は、会場を9つのブロックにわけて目線を移しながら話す。

◎会話のハイジャックに要注意

→無意識に、会話の主導権を相手からうばってしまい、信頼関係を失ってしまう。

対応策として、相手の表情を見る。

「もっと話したそうだな」という表情の時、最後まで聴く。

その表情に気づけたら、コミュニケーションが上達した証である。

◎スピーチの極

①おしゃべりは、自分が話したいことを話す。これはアマチュア。

スピーチは、聴き手が聞きたいこと話す。これがプロ。

相手を目的地に連れて行く必要がある。

そのためには、講演前に、企業のトップと話をして、自分の講演への要望を把握しておく。

②話すことはプレゼント

要望を把握した後には、相手が持ち帰りやすい話をプレゼントとして用意する。

大きすぎる贈り物は、受け取る相手を困らせてしまう。

「すごい話」ではなく「普通サイズの話」を聴き手に届ける。

日常の行動に変化を与える、小粒なプレゼントこそ喜ばれるプレゼントである。

③うまく話そうとしない

うまく話そうと思いながらスピーチをすると、動いているのは頭である。

惹きつけられるのは心の動き。

つまり、話し手自身が、自分の心が揺さぶられるような話をしないといけない。ここで大切なのが、実体験を話すこと。

過去を振り返りながら、タイムスリップして話をすると、話し手の心は揺れ、聴き手にも感動を伝えることができる。

「コミュニケーション=話すこと」

本書は、相手を納得させるための「その場しのぎ」のテクニックが書かれた本ではない。

人から愛される、信用してもらえる、コミュニケーションのベースとなる心構えが記されている。

鴨頭氏の根底にある「優しさ」に触れ、ちょっとした工夫で信頼関係を築くことができるのだと自信が持てる1冊である。

■本書をおすすめする理由

人間関係は、多くの人にとって課題となる。

スムーズに進めば毎日が快適に、一方トラブルに巻き込まれると、日常生活に大きな支障が出る。

コミュニケーションと言えば、「話す・聞く」のイメージが強いが、その根底にある「相手を思う気持ち」に気がつくことができる1冊である。

人が忘れてはならない優しさについて、つい忘れがちだったと気づくことができる。本書の一番の収穫は、謙虚さを取り戻し、優しい気持ちになれることである。

記事について

執筆者情報
名前:ちーた
職業:オンラインスクール「Lif.」経営
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コメント:個別読書指導、書評動画制作をしながら、読書の良さを広めることと、読書を通じて子供たちの力を育む活動を行っています。

この記事を書いた人

マグ

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Twitterフォロワー数9万人の、読書系インフルエンサー。Voicyにて書籍紹介。1%読書術(KADOKAWA)著者