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■書籍紹介
タイトル:独立思考
著者名:山本大平
出版社:朝日新聞出版
初版発行日:2022/9/30
■ 「独立思考」の概要
「独立思考」とは、会社員を辞めて、起業したりフリーランスになったりということではない。
自分の頭で考えたアイデアを行動に移し、仲間と適切にコミュニケーションを取り、仕事の成果を最大化する考え方だ。
つまり、「自分で考えて動けるようになる」仕事の基本が詰め込まれている本である。
今よりも、もっと仕事ができるようになりたい。
大手企業に依存しすぎずに、自分で行きていく力を引き出すために書かれた一冊。
筆者はトヨタグループ、TBSなど大手企業を経験し、現在は経営コンサルティング会社F6 Designを創業した山本大平氏。
時代の変化をいち早く捉えた彼は、徐々に貧しくなっていく日本に危機感を覚えている。
どんな環境に置かれても生きていく力を手に入れるためのバイブルとも言える一冊となっている。
■ 「独立思考」は、どんな人に向いているか
・毎日、歯車のように仕事をしている人
・自分の意志を表明しないで、家と職場の往復に嫌気が差している人
・もっと仕事ができるようになって、会社や上司に認められたい人
上記に1つでも当てはまるなら、本書を手にとって、働き方の根底にある「考え方」を修正する必要がある。
では、企業に頼らず、自分の力で生きていくために必要な考え方とは…
本書は、10章で構成されている。
今回は、第4章の「不安」と第9章の「加齢」を中心に取り上げる。
■「独立思考」の要約
本書は、全5章で構成されている。
- 第1章 思考の「独立宣言」
- 第2章 自分の頭で考える
- 第3章 問題の解像度を上げる
- 第4章 自分だけの戦略を立て、実行する
- 第5章 独立思考を最大化するコミュニケーション
以下、それぞれの章でのポイントを示す。
【第1章 思考の「独立宣言」】
思考の独立宣言とは、簡単に言うと、これまでの思考の癖を捨てることである。
周りと同じ思考法から独立するためには、自分の思考の土台を強固にする必要がある。
その礎となるのが、「思考と行動の3原則」
①疑え!
TBSの番組「SASUKE」を担当した時、局内では「50歳以上が視聴する番組」との認識がほとんどであった。
Twitterで調べてみると、若者の「SASUKE」を望むつぶやきに遭遇する。
直近の視聴率分析を疑うことから始め、ネットの世界にSASUKEの楽しさや放送日などをシンプルに告知することで、視聴者層は若者中心に様変わりした。
「当たり前を、当たり前に疑うこと」が必要である。
②現場で!
万聞は一見に如かず。ネットではたくさんの情報を拾えるようになったが、残念ながらウソも交じる。
受け取る側に、情報の「見極め力」が求められる。
そこで使えるのが、「三現の教え」である。
「現地」「現物」「現実」の3つ。
現地にも必ず足を運んで、現物をなるべく近くで観察・確認し、その上で現実的な判断を下す。
③シンプルに!
ネットやスマホの普及により、社会は情報過多になってしまった。
そんな時代だからこそ、情報をシンプルに読み込む力と、切り口をシンプルに見つける力が必要になる。
ビジネスシーンにおいては、「すーっと理解できるような単純な資料」を用意する。
紙一枚にまとめる方が、より高次元な思考力を必要とする。
必要最小限まで、無駄を削ぎ落としたシンプルな資料作りを目指す必要がある。
【第2章 適正に情報をつかみ、自分の頭で考える】
ここでのポイントは、視点を積極的に切り替えることだ。
特に、売り手ではなく、買い手「顧客視点」への切り替え。
あなたが担当する商品やサービスは、あなたがカスタマーの一人となって商品やサービスを見極めなければならない。
- 価格は高くないか
- 唯一無二のサービスで、他にはないサービスか
- 長く愛されて、飽きられないサービスか
【第3章 問題の解像度を上げる】
あなたが手掛ける仕事の課題は何なのか。
「イシュー」とも言われる。
プロ野球を例に上げると、毎年最下位なら、優勝するためには「順位を5つ上げなければならない」
これが課題であり、方向性が決まる。
次に、現実的に何をどのように改善すればよいかを考える。
ここで効果的なのが、「問題のブレイクダウン」である。
例えば、あなたがイタリアンレストランのオーナーの場合、リピーターの来店率が前年比の2割減になったことに悩んでいるとする。
もし、ライバル店ができていたとしても、それだけが理由だと決めつけるのではなく、ライバル店に人が流れる理由を探すことに意味がある。
リピーターの減少→満足度が低い→料理の質を上げる→腕の良い料理人を雇う
→食品の産地にこだわる
→材料の仕入先を変更する
→選べるコースの数を増やす
初期の段階で、問題そのものを具体的な状態にしてから、さらに真因を探すようにすると効果的である。
【第4章 自分だけの戦略を立てて実行する】
常識にとらわれず、自分だけの戦略を立てる。
決して誰にも真似できない、あなた独自の戦略が鍵を握る。
筆者があげるキーワードは、「サードドアを探す」だ。
サザエさんで言うと、三河屋のサブちゃんのように、勝手口から入るイメージである。
特に今からの時代は、「いかに早く抜け道に気付けるかどうか」が勝負になってくる。
仕事には、「何のためにそれをやるのか」という幹の部分が大事であり、どこが重要で、何にこだわるべきなのかを考えると、今まで気づかなかった選択肢に繋がることがある。
さらに、「なぜ」と問いかけることを忘れない。
「なぜ、若者のテレビ離れが加速したのか」
この理由を、「テレビ番組が面白くなくなった」と答えてしまっては、一方的な「なぜ?」の回答しか提示できない。
「なぜ?」の目を、多角的に向けてみることが必要である。
自宅での楽しみがテレビ番組に限られていた時代から、娯楽の選択肢が増えたという別角度からの理由も見えてくる。
そして、最終的に仕事の質を評価するのは「成果や行動の結果を評価すること」である。
成果、失敗といった結末を、自分自身とは別人となって見つめること。
自分が行った仕事はどうしても愛着が湧いてしまうので、一度突き放して考える必要がある。
繰り返しながら、実践して失敗することが成長への糧となる。
【第5章 コミュニケーション】
ここまで培った独立思考は、他者と協調することでさらなる成果を生み出す。
仕事は、決して1人ではできない。
協調することを武器にしていく。
協調を身につけるために必要なのが、「口2、耳8」のスタンスだ。
相手の話を聞くことはもちろん、深い話を聞き出すためには「質問力」も必要である。
常に同意ではなく、うざくない程度の質問ができる力を付けておこう。
■「独立思考」をおすすめする理由
サラリーマンや公務員として働いていると、給料は上がらないし、売上が関係ない所で仕事をして、単純作業の繰り返しになってしまうことがある。
本書は、そんな仕事に惰性を感じてしまいながらも、なんとかしたいと思っている人に読んで欲しい。
冒頭で紹介したように、独立思考とは、フリーランスになることや起業することではない。
組織に所属しながらも、組織の質の向上に積極的に貢献できる考え方が「独立思考」だ。
今、仕事にやりがいを感じていない人は、そのままの考え方で転職しても同じことの繰り返しになってしまうだろう。
まずは、今の職を続けながら、組織をレベルアップさせる起爆剤になって、働く楽しさを感じてほしい。
独立思考が、今までにないパフォーマンスを生み出すことを願っている。
■ 記事について
■執筆者情報
名前:ちーた
職業:オンラインスクール「Lif.」経営
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コメント:個別読書指導、書評動画制作をしながら、読書の良さを広めることと、読書を通じて子供たちの力を育む活動を行っています。