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■書籍紹介
タイトル:心理的安全性のつくりかた
著者名:石井遼介
出版社:日本能率協会マネジメントセンター
初版発行日:2020/9/10
■「心理的安全性の作り方」の概要
本書には、組織・チームにとって重要な心理的安全性のつくりかたと、そのために必要な心理的柔軟なリーダーシップを育む方法について、理論のみならず実践にもすぐ使える具体的内容が記されている。
「心理的安全性」とは、組織やチーム全体の成果に向けた、率直な意見、素朴な質問、そして違和感の指摘を、いつでも、誰もが気兼ねなく言えることをいう。
心理的安全性の重要性は、Googleが4年の歳月をかけて調査・分析した結果からも明らかになっており、心理的安全なチームは離職率が低く、収益性が高く、多様なアイデアを効果的に活用することができる、と結論付けている。
心理的安全性は、チームの学習を促進しパフォーマンスを向上させるが、学習を促進するメカニズムとして、情報共有と衝突発生の頻度を上げ「失敗から学ぶ」行動を強化することも挙げられている。
そして、このチーム学習が、パフォーマンスだけでなく、意思決定の品質すらも向上させるとしている。
また、本書は、心理的安全性を機能させる「仕事の基準の高さ」も重視。
心理的安全性と仕事の基準の高さ、その両方が高い「学習して成長する職場」を目指すべきだとしている。
心理的安全性が高くても、仕事の基準が低い職場は、すぐに妥協する「ヌルい」職場といえるので要注意だ。
心理的安全性を感じるためにチームに必要なのは4つの因子、①話しやすさ・②助け合い・③挑戦・④新奇歓迎だ。
特に新奇歓迎は、「誰一人取り残さない」持続可能で多様性と包摂性のある社会の実現を目指すSDGsの目標到達という観点からも、重要性の高い項目といえる。
管理職・リーダーや、組織・チームに心理的安全性を構築しようとリーダーシップを発揮する人にとっては、これら望ましい4つのカテゴリの行動を増やし、望ましくない行動を減らすことが仕事となる。
それには、組織・チームの背負った歴史や文脈に応じて、あるいはアプローチする個々の性質に応じて、しなやかにチームの中の行動を活性化できる「心理的柔軟なリーダーシップ」を身に付けることが必要だとしている。
心理的柔軟性とは、
1. 困難な思考や感情をオープンに受け入れること 2. 大切なことを明確化・言語化し、それに向け行動すること 3. いま、この場で進行中の出来事に、気づき続けていること
の3つを挙げている。
まずは、チームを変革させるリーダーである、あなた自身の心理的柔軟性を伸ばすことから始める必要がある。
本書は、行動分析でつくる心理的安全性にも触れている。
先ほどの4つの因子①話しやすさ、②助け合い、③挑戦、④新奇歓迎、はそれぞれ行動の集積だ。
・話しやすさ→話す・聞くという行動
・助け合い→助けを求める・助けるという行動
・挑戦→挑戦する・歓迎する、機会を与える・機会をつかむという行動
・新奇歓迎→個性を発揮する・個性を歓迎する・適切な配置をするという行動
そもそも行動は「きっかけ」と「みかえり」で制御されている(きっかけ→行動→みかえりという流れ)。
みかえりがプラスに感じれば同じ行動をとる確率が上がるし、逆にマイナスに感じればその行動は一回きりで終わってしまう。
自身やチームのメンバーにとっての「その行動を取り続けているだけでハッピーなもの」を見つけることが重要だ。
激しく変化し続ける時代における組織とチームの未来をつくるために、人々が率直に話せる状況を作ることが重要な仕事となる。
一人一人が、心理的柔軟なリーダーシップを発揮して、一つ一つのチームを心理的安全なものに変えていったとしたら、組織・チームに今は眠っている、多様な才能がもっと輝き、人々が充実感とともに成果が出せるようになる。
記事について
■執筆者情報
名前:みつばち